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2005年05月17日
『ハサミ男』と主観の芸術
殊能将之著『ハサミ男』(講談社,1999.08 講談社ノベルス)
『ハサミ男』,読了。いや参った。思った以上に面白かった。
叙述トリックという言葉があるが,むしろ主観トリックというべきなのかもしれない。
小説,あるいは「語り」でもいいが,
言語による作品は,それが「主観」と切り離せないところに味がある。
フルコピーではないにしろ,
「視点」を主体とする映画より,「状況」を主眼とする舞台より,
「主観」を首座とする文芸こそが,もっとも人の精神を表現しているものと感じる。
『ハサミ男』は,そんな気持ちにさせてくれる小説だった。
トリック前までは日常の中の錆び付いた狂気めいて,不思議な感覚を感じていたが,
トリックを開いてみたら喜劇だったなあ。
そう思わせないほどに,自然に構成が上手い。独特の空気がある。
いや,良かった。
投稿者 Myrmecoleon : 2005年05月17日 21:49
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